従業員が月の途中で入職・離職した場合、従業員の諸手当をどう扱うべきでしょうか。
日割りできるか?
まず、「就業規則(賃金規程)」に定めがあるかどうかを確認する必要があります。
「ノーワーク・ノーペイ」の原則
法的には「ノーワーク・ノーペイの原則(労働がない時間に対して賃金を支払う義務はない)」という考え方があります。
就業規則(賃金規程)に特段の定めがない限り、在職期間に応じて日割り計算をすることは合理的であり、法的な問題もありません。
特に「運行管理者手当」のように、特定の職務に従事することへの対価として支払われる手当は、実労働(または在職期間)に対する対価として支払われるものであるため、在職日数に応じた支給とするのが自然な考え方です。
有給消化の場合
注意が必要なのは、退職前に有給休暇を消化する場合です。
有給休暇を取得した日については、労働基準法により「通常の賃金」や「平均賃金」を基準に賃金を支払うことが定められています。
そのため、有給消化期間を含めて日割り計算を行い、支給額を減らすことは、不利益取り扱い(違法)とみなされる可能性が非常に高いです。
退職直前の有給消化であっても、その期間は「出勤したもの」とみなして手当を算出する必要があります。
運用上のポイント
トラブルを防ぎ、公平な運用を行うために、以下の2点を徹底しましょう。
計算基準の統一
日割り計算の基準には以下の2通りがありますが、透明性を保つため、社内で統一した基準を用いるようにしましょう。
- 歴日数(カレンダーの日数)を基準にする
- 所定労働日数(会社の営業日)を基準にする
就業規則への明文化
曖昧な運用を避けるため、就業規則に次のような規定を設けておくことをお勧めします。
(規定例)
「計算期間の途中で採用され、または退職、休職、復職した者の基本給及び諸手当については、当該計算期間の歴日数を基準として日割り計算により支給する。」
労使慣行に注意
これまで「月の途中退職でも満額支給」を長年続けていた場合、それが「労使慣行(事実上のルール)」として定着しているとみなされることがあります。
急にルールを変更して減額すると不利益変更の問題が生じる可能性があるため、変更の際は従業員への丁寧な説明と合意形成を心がけましょう。
まとめ
- 日割り計算は原則可能だが、就業規則の定めが優先。
- 有給休暇消化分の日割り計算はできない。
- 計算基準(歴日数か労働日数か)を明確にする。
