36協定の割増賃金率にご注意ください

36協定の落とし穴

運送業界において、働き方改革関連法の適用により労務管理の重要性が増しています。

その中で、多くの事業所が毎年届け出ている「36協定(時間外・休日労働に関する協定届)」の記載内容について、意外な落とし穴が見つかっています。

特に注意すべきは、「限度時間を超えた労働に係る割増賃金率」の欄です。

「30%」や「35%」と書いていませんか?

行政機関や各種団体が配布している36協定の「記入例」や「雛形」の中には、参考値として割増賃金率の欄に「30%」や「35%」と記載されているものが一部存在します。

これらをそのまま参考にして、自社の協定届にも「30%」「35%」記入して届け出ているケースが非常に多く散見されます。

しかし、労働基準法で定められている法定の割増賃金率は、原則として「25%」です。

「協定届への記載」が持つ法的なリスク

「法律より高い分には問題ないだろう」と安易に考えてはいけません。

36協定に法定(25%)を超える率を記載し、労使で合意して届け出た場合、その率は「会社が支払うと約束した条件」になります。

もし実際の給与計算を25%で行っていた場合、労働者や退職者から「36協定では30%と定めているのだから、差額を過去に遡って支払ってほしい」と請求された際、これを拒否することが困難になります。

今すぐ自社の「36協定届」の控えを確認してください

現在、労働基準監督署に提出している36協定の控えを取り出し、「限度時間を超えた労働に係る割増賃金率」が30%や35%になっていないかチェックしてください。

従業員に有利になるようにあえて高く設定するのは自由ですが、「雛形どおりに書いただけ」で意図せず高い率を約束してしまっている場合は、次回の更新時に「25%」へと適正化することを強く推奨します。

この記事を書いた人

新潟市出身。上智大学外国語学部卒業、一橋大学法科大学院修了。物流業専門の社会保険労務士。2023年に「いろり社労士事務所」を開設。トラック運送業、観光バス業、倉庫業に特化した支援を行っている。紛争を未然に防ぐ規程作りや労務管理を得意とし、単なる手続き代行に留まらない経営サポートを展開。2024年問題などの業界特有の課題に対し、経営者の良き理解者として現場に即した実務的な解決策を提案している。福岡市在住。

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